「よかったな。大好きな恭弥の所に行けて」 学校から雲雀宅への帰り道、隣を歩いているディーノがにだけ聞こえるように 小さな声で言った。 「はい。でも邪魔者がいて残念です」 にこにこ笑っている表情とは違い、がディーノに放った言葉にはどこか刺があ った。 「・・・一応、俺お前の師匠だよな・・・?」 「何言ってるんです?師匠でありボスじゃないですか。」 不安そうに聞いてくるディーノに首を傾げながら告げる。 それでもどこか納得できないディーノだった。 T and P 「どうして鞭なんて使うの?」 ディーノに弟子入りすることを伝えると、雲雀が不機嫌口調で聞いてきた。 「近すぎず、遠すぎずに戦うのが好きで・・・」 それに対してこれ以上機嫌を損ねないように答えたつもりなのだが・・・どうや らだめだったようだ。 最近雲雀にディーノのことを話すと機嫌が悪くなるのはなぜだろう・・・。 「・・・あの人と仲いいの?」 あの人とはきっとディーノのことだろう。 別に仲が良いわけではないが、あのことを言ったらもっと雲雀の機嫌が悪くなり そうだ。 でも内緒にすると後が怖いからな。 「別に仲が良いわけでは・・・・あ、あのね恭弥」 「なんだい?」 「俺キャバッローネファミリーに入ることになっ」 全て言い終わるまえに、恭弥の隣に置いてあった花瓶の花が俺の頬をかすめた。 「きょ・・・」 「でていきなよ。もう君の顔は見たくない」 くるりと俺に背を向け、素っ気なく言われた。 こうなったらもう何を言っても無駄なことは知っているので、俺は黙ってその場 を去った。 それから恭弥とは会えずに俺はキャバッローネに行ってしまったのだ。 「そう言えば、あのあと恭弥と仲直りしたのか?」 ふと10年後のことを思い出していると、ディーノがそれを察して聞いてきた。 にやにやしながら言ってくる様子を見ると俺と恭弥が10年後で喧嘩しているのを 知っているようで、知っていながら聞いてくるこの人は意地悪だ。 「してませんよ」 言った後に思い切り足を踏み付けてやると、声にならない悲鳴をあげて「お前な ー・・!」と苦笑いされた。 師匠が悪いんだからこれぐらいしたっていいじゃないか。 「ねぇ」 立ち止まっていると前方を歩く雲雀に声をかけられた。 「着いたんだけど。後5秒でこなかったらドア閉めるよ?」 いつのまにか家に到着していたようで、俺達がもたもたしていたから雲雀はご機 嫌ななめのようだ。 とりあえず扉を閉められないうちに駆け出した。 「お、おじゃましまーす・・・」 さっさと奥にはいっていってしまう雲雀を追いかけ、はディーノを押し退けて あがっていった。 「、待てって」 それを追いかけ、靴を玄関に綺麗に揃えてディーノも上がる。 「床にでも座りなよ」 素っ気なくいう雲雀に従い、絨毯の上にとディーノの二人は座った。 「ねぇ、お茶いれて」 のほうを見て言う雲雀に、は嬉しそうに首を縦にふった。 「げ・・・!?まて!!」 意気込んで台所に向かうをディーノが慌ててとめた。 その様子に雲雀は首をかしげ、は不機嫌そうに振り返った。 「お茶は俺が煎れるからお前は座ってろ」 をもといた場所に座らせ、ディーノは台所に入っていった。 「・・・?なんなの?」 「よほど自分が働きたかったんじゃないですか?」 理解していない雲雀に対し、は理解はしているが本当のことは言わずに拗ねて しまった。 「そういえば、あなたと彼はどんな関係なの?」 一瞬の沈黙の後、恭弥が口を開いた。 「師匠のことですか?・・・呼んでる通り師匠だし、後は親みたいなものです」 「親?」 「はい、両親をなくしていくあてもなかった幼い俺を助けてくれたのは師匠なん です。」 さっきまでの不機嫌さはどこへ?と聞きたくなるほどにこやかに言う。 「・・・もう一人俺を助けてくれた人が居たんだけど・・・その人はもっと・・ ・」 今度はどこか遠くを見詰めながら呟いたのだが、肝心な最後の言葉を聞くまえに お茶をもったディーノに邪魔をされた。 さっきのの顔、あれはもしかして・・・・? 「がいなくなったってどういうこと?」 扉を乱暴にあけ、部屋の中に入ってきたのは雲雀恭弥。 「あ、雲雀さん。それがディーノさんも10年バズーカにあたったきり戻ってこ ないんです。」 だけでなくディーノも戻ってこない、という情報に雲雀は眉をしかめた。 また、あの人・・・。 ぎりっと歯を鳴らし、怒りの感情をあらわにすると、目の前にいる綱吉が居心地 悪そうに目を伏せた。 のことについては綱吉も詳しいことは知らないのだろう。 そのことについては自分で調べるしかないようだ。 ・・・、君は一体どこに・・・? *あとがき 短くてすみません; 携帯でかくといまいち長さがわからない・・・ |