「おーい、
「なんですか、師匠」
滝の前でまだ使い慣れない鞭を振るっているに、師匠と呼ばれた者が「ちょっと休憩しようぜ」と言って水のはいったペットボトルをに向かって投げた。

「おっと」
はそれをキャッチし、崖の上にいる自分の師匠のほうを見遣る。
そこで、師匠の後ろから迫ってきているものを見て、目を見開いた。
「師匠!危ない!」
は危険を知らせるべくとっさに叫び、そして無意識に鞭を振るっていた。
「いてっ」
の振るった鞭は見事に師匠に命中し、後ろから迫っているそれから遠ざけることはできたが、今度はそれが自分のほうに真っ直ぐ飛んできた。

あ、やばい。よけれない。
俺、死んだかも。

反射的に首から上を腕で守り、目を固く閉じた。
一瞬頭の中が真っ白になり、そろそろと目を開けてみると、そこはさっきまでいた滝ではなく、コンクリートでできた建物の屋上だった。




T and P




「ボスー!何があったんだー?!」
騒ぎをききつけ、黒服の集団が崖の下をみつめているディーノの元へ駆け寄ってきた。
「ロマーリオ・・・10年バズーカがに向かって飛んでった」
「10年バズーカ?じゃあは10年前といれかっちまったのか?」
「いや、ここにいたは消えたが・・・10年前のがいねぇんだ」
ディーノは額に汗を浮かばせ、ポケットから携帯を取り出すと鳴れた手つきでボタンを押し、電話をかけた。













「あ、ちょっと電話でて、誰か!」
突然かかってきた電話に、書類の処理で手がいっぱいだった綱吉は、近くに誰かいるだろう、と部屋の中から呼びかけた。
すると、扉がひらき誰かが受話器をとる音が聞こえた。
「もしもし?」
声からすると、どうやら電話をとったのはランボだったようだ。
『ランボか?ディーノだ。丁度いい。聞きたいことがあるんだ』
「ん?俺にですか?」
自分が指名されたことに首をかしげながら、ランボは「なんでしょう?」とディーノに質問を促す。
『さっきこっちに10年バズーカと思われる弾がとんできたんだが、心当たりあるか?』
「あぁ、それならさっき獄寺氏が改造した10年バズーカを俺にむけてうってきましたよ。」
かわしたけど、と小声で呟くと、電話口のディーノからやけに納得した返事がかえってきた。
「どうかしたんですか?」
なぜそのようなことを聞くのかと思い尋ねると、一瞬間をおき、笑い混じりに質問の答えが返ってきた。
『さっきそれがうちの弟子にあたってな。』
「あぁ、それで10年前と入れ替わったんですか?」
『いや、10年前の姿がないんだ』
そう告げると、ランボは一瞬理解できず、黙り込んでしまったが、理解できたとたんに思わず叫び声をあげた。
その声に驚き、書類に目をとおしていた綱吉はずるっと前方のほうへすべり、書類の束を床にばらまいてしまった。
「ラ、ランボ?なに?」
「大変ですボンゴレ・・・。ディーノ氏の弟子が一大事です」
「へ?」
そしてまた、事情を聞いたあとあげた綱吉の叫び声で、何事かと入ってきた山本たちにも事情を説明しなければならなくなったのだ。













「んー・・・?」
そのころ、話題の中心にいる人物、は首をかしげていた。
いきなり景色がかわったのは何事かと。
まさかここが天国なのか?とも思ったが、いくらなんでも違うだろう、と自分の考えを否定し首をふった。
「師匠はどこへいってしまったのだ・・?」
とりあえず、ディーノを探そうと一歩踏み出したとき、目の前にあった扉が開いた。

「今日も殺し合いしてくれるの?」
「だから、修行だって」
入ってきたのは肩から学ランを羽織った少年と、自分が捜し求めていた人物だった。
「師匠!」
「ん?」
予想外の声に、ディーノと雲雀は揃って声をあげた。
「誰だい?」
駆け寄ってくるから視線を外し、雲雀はディーノを睨みつける。
しかし、ディーノは首を傾げて駆け寄ってくる少年をじっと見ていた。
どうやら知り合いではないらしい。
「師匠、怪我はなかったですか?」
さきほど鞭をあててしまったことに対しての言葉なんだが、ディーノは「なんのことだ?」と不思議そうな顔で言った。
「へ?さっき鞭で引っ叩いてしまったので怪我はないかと・・」
なんのことかわからない、というような顔をしているディーノに、のほうもわけがわからなくなり、一緒に首をかしげた。
「師匠・・・?心なしか雰囲気がいつもより幼いような・・・」
「お前どっかで見たこと・・・・」
じーっと互いの顔をみつけていると、先に状況を理解したが「あっ」と声をあげた。

「そっか・・・10年バズーカだ・・」
「10年バズーカ?お前もしかしてか?」
の言った言葉に眉根をよせ、もしかして、と目の前にいる少年に尋ねてみる。
「はい、そうです」
予想通りの返事に、一瞬驚いた顔をしたディーノだったが、すぐに笑顔になっての肩をぽんぽん叩いた。
「そーか!あの小さいがこんなに成長したのか!10年後からきたってことは18才か?」
「はい、そうです。10年前の師匠は・・・」
なにか言った方がいいかと咄嗟に口にしてみたが、その先がでてこずに少し沈黙したが、「あんまり変わってないです」と笑顔で言った。

「ちょっと」
さっきから親しげに話している二人を見て、雲雀がいらついた口調で話を遮った。
「やる気がないなら僕は帰るよ」
「まてまて恭弥!」
ディーノは踵を返そうとした雲雀の肩を掴み引き止める。
は、恭弥という名前をきき、目を輝かせた。
「恭弥・・」
見知らぬ者に名前を呼ばれたことに、雲雀は視線をのほうへ向けた。
「幼い恭弥だ!」
いきなり抱きついてきたに驚き、引き離そうとしたが思いのほか力が強くてはがれない。
そのとき、軽快な音ともに真横から煙が発生し、そこにいたディーノの姿はなく、がさっきまで一緒にいた10年後のディーノといれかわっていた。
「お、無事だな
煙を手で払い、の姿を見つけたディーノはにこりと笑い、の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。

「・・・・どうなってるの?」
3人中で1人状況を理解できていない雲雀が困惑した言葉を発し、とディーノは顔を見合わせ笑ったのだった。














*あとがき

微妙なところで終わってすみません。
長くなりそうなので区切りました。

新しい連載です。
ディーノと雲雀と主人公の絡みをを中心に書きたいと思ってます。
三角関係って・・いいですよね。

09.03.09 滓