艶やかな銀色の尻尾、ピンととがった耳。 暗闇で光る二つの瞳。 肉を引き裂く2つの牙。 そして・・・手足の鋭い爪。 猫になった鮫 「スクアーロ、ご飯できたってさっきからルッスが呼んで・・・」 いつまでたっても食堂にこないスクアーロにしびれを切らし、は彼の部屋を訪れた。 そこで、呼んでもこないはずだ、とは寝ているスクアーロに近づき布団を引っぺがした。 「スクアー・・・・・ロ・・・」 そして、いつもとは違う彼の姿に、口をあんぐりと開いて静止してしまった。 「・・・なんだぁ?」 いきなり布団を引っぺがされたことに吃驚し、スクアーロが眠そうに目を擦りながら起き上がり、口を開いて固まっているを見て首を傾げる。 「ゔお゙い・・?」 呼んでみても返事はなく、開いている口に指を突っ込んでみても反応はない。 いったいどうしたのだと頭を掻くと、触りなれた髪のほかに、なにか温かいものに触れた。 「なんだぁ・・・?」 何回か触ってみてもそれが何かはわからなかったので、鏡で見てみると・・・ 「い゙や゙あ゙ああああぁぁっ!!!!!」 「うるせぇー!このドカ・・・・ス・・?」 スクアーロの尋常ではない声の大きさに、ザンザスが茶わん片手に部屋の扉を乱暴にあけて入ってきた。 それに続いてベルとルッスーリアもスクアーロの部屋を覗き込む。 「な゙んじゃこりゃあ!!」 そこには、自分の頭にはえた猫の耳を引っ張っているスクアーロの姿と、我に返って笑い転げているの姿があった。 「あーっはっはっはっは!!!うひー!お腹いてぇーー!」 ばしばしと床を叩き笑う。 そんなを見てスクアーロは半分なきながらの腹にチョップを下した。 「あ゙はぁ〜、なにそれー」 が笑わなくなったと思ったら、今度はスクアーロの部屋を覗く3人が笑い出した。 「ぶはっ、似合ってるぞカスが!」 「おほほほほ、そうね、お似合いよ」 笑いの対象となったスクアーロは顔を赤くし扉の前で笑っている3人を押しのけ部屋の外へと逃亡した。 そんなスクアーロの行動に、最初にが面白半分でスクアーロを追いかけ、残りの(ルッスーリアを除いた)2人が好奇心からに続きスクアーロの後を追った。 「ご飯が冷めないうちに終わらせるのよー」 3人の後ろ姿にひらひらと手を振り、ルッスーリアは何事もなかったかのように食卓に戻っていった。 どうなってんだ俺の体は?!寝る前は普通だったはず! 「ゔお゙おいっ!」 考えながら走っていると、後ろからナイフや銃弾が容赦なく飛んできた。 あいつら他人事だと思って遊んでやがるな?! 「あ゙ははぁ〜、先輩萌え〜」 「萌えんなぁああ!?」 「はっはっは!尻尾ががら空きだぜこいつめー」 ベルの言葉に気をとられていると、突然に尻尾を思い切りつかまれた。 その瞬間背筋にぞくぞくとした感覚がはしり、体から力が抜けた。 「あれ?どうしたの?」 いきなり床に倒れこんだ俺に、が不思議そうな顔で見下ろす。 尻尾は相変わらず握られたままだ。 「感じちゃったんじゃね?」 「ちょっと、下品なこといわないでよ」 ベルの発言に力んだが、いっそう力を増して尻尾をにぎる。 すると、喉の奥から自分のものとはおもえないような声が発せられた。 「ふにゃっ・・・!」 その声を発した途端、あたりはしんと静まり返り、俺は倒れこんだ背中に3人の視線を感じた。 恐る恐る振り返ってみれば、皆好奇心をまとった瞳で俺をみつめ、は俺の尻尾を握る力をさらに強くしたのだった。 そのあと俺はもとに戻るまでの三日間、皆(特にやベル)に弄ばれた。 後で聞いた話によると、猫になった原因はマーモンの体調不良で幻覚が暴走したことが原因らしい。 END *あとがき 現実に不可能な出来事はすべてマーモンに任せましょう! というのが私の頭の中の教訓です。 09.03.06 滓 |