「も・・・もう許してくれ」 任務に行った帰り、俺は恒例のご当地殺し屋殺しをして楽しんでいた。 その中の1人に、結構痛めつけて血もたくさん出てるのになかなか死なない奴がいた。 そいつが発した言葉に、俺は口の端をにっとあげて 「いいよ、助けてあげる」 と言ったのだ。 途端に男は安堵の表情を見せた。 俺は待ってましたといわんばかりに、その顔にナイフをぶすりと刺したのだった。 doll 「おかえり、ベル」 玄関から城の中に入ると風呂に入った後なのか、上半身裸で頭にタオルをかぶったが出迎えて(というか偶然通りかかったのだろう)くれた。 「ゔお゙おい!そんな格好で出歩いたら風邪引くぞぉ!」 そこに現れたスクアーロに、はすっぽりと腕の中に収められた。 「大丈夫だよ、今日あったかいから」 「そんなこと言ってこのまえ風邪引いたのはどこどいつだぁ?」 ぐりぐりとのほっぺを突くスクアーロ。 相変わらず、ヘドが出そうなイチャつきぶりだ。 「ところでベル」 スクアーロとじゃれあっていたが、通り過ぎようとする俺を呼び止める。 「ん?」と言ってのほうを見ると、の視線は俺のほうにではなく、俺の後ろをちょこちょこついて来る生物に向けられていた。 「なに、それ」 わくわくしているをよそに、俺は連れてきた覚えのないそれを凝視した。 すると、自分に視線が向けられていると解ったのか、ベルの後ろを歩くそれはぱっちりとした目を向けて首を傾げた。 「なんだ、こいつ」 「子供だねぇ」 ベルの後ろを歩く子供に興味を示し、スクアーロとはまじまじと観察する。 そしてベルはどこからついてきたのだ、と帰ってくるまでのことを思い返していた。 「君、名前は?」 「・・・」 「両親はどこ行ったんだぁ?」 「パパはさっきこのお兄ちゃんに殺されちゃった」 このお兄ちゃん、と言って子供はベルを指差した。 そういえばさっき、とベルは殺し屋を殺していたとこのことを思い出す。 最後の殺したあいつ、何か後ろにかくまうような素振りをみせていたが、きっとこの子供だったのだろう。 「あーらら、罪深い少年だねぇ、ベルフェゴールちゃん」 「責任もってこいつどうにかしてこいよぉ」 にやにやとムカツク笑いを浮かべて、とスクアーロの二人はわざとらしくひそひそ話しをした。 「は?王子しらねぇし」 育てるのなんて面倒くさい、と思って殺してしまおうかとナイフを取り出した瞬間、後ろから声が聞こえた。 「あら、ちょっとそれ『doll』じゃない?」 「あ?」 声の主はルッスーリアだった。 彼はおどおどと戸惑っている子供を見て、「やっぱり」と声をあげた。 「これ『doll』よ!腕のところに番号が彫ってあるもの」 そういわれて子供の腕をみれば、確かに番号が書いてあった。 「さっきテレビで紹介してて気になってたのよ。育て方によっては自分の好みに合わせられるって」 きゃーと子供を抱いてくるくると回るルッスーリア。 「じゃ、それあげる」 そんなルッスーリアのはしゃぎっぷりを見て、ベルはそれだけ言葉を残して去っていった。 「これすごい高いのよ?どうしたの?」 あとに残されたとスクアーロに問いかけるルッスーリア。 「あぁ、ついてきちゃったんだよ。ベルに」 その問いにはいろいろ省略して答える。 するとその答えで納得したのかルッスーリアは『doll』のを連れてリビングのほうへ行ってしまった。 「あっちでケーキでも食べましょうか」 「あ、ずるい!俺もケーキたべるー!!」 「!先に服を着ろぉ!」 ヴァリアーに隊員が1人増えた一日だった。 end |